黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

書籍「岡山表町商店街物語」吉備人出版 末廣 建一著

書籍「岡山表町商店街物語」吉備人出版 末廣 建一著

かつて表町は表八ヶ町(おもてはっかちょう)といっていた。上之町,中之町,下之町,栄町,紙屋町,西大寺町,新西大寺町,千日前だ。筆者は上之町の一角に店を構える履物屋のボンボン。子供の頃から商店街が遊び場であった。
 僕と一つ違いの同世代なので、漫画雑誌やプラモデル、怪獣映画など話題が合う。僕は奉還町の育ちなので、子供の頃の表町のことはわからない。記憶にあるのは天満屋バスステーションが排気ガス臭かったことや、千日前の賑わいくらいかな。
 しかし学生になると表町を端から端まで練り歩いたので、カニドンとかアメリカ屋、松森無線、やまと、海華楼、天神そばなどなど、もしかしたら高校生時代すれ違っていたかも。この本ではじめて知ったが、電車通りを渡った天神町も昔は上之町だったそうな。上之町会館が天神町にあるのが理解できた。
 プラモデルにも趣味が合うようだ。サンダーバードやノーチラス号やタイガー戦車は僕も作った。ただ筆者は図画工作が得意で緻密な作業に長けている。ちゃんと塗装もするし、汚れ塗装にまでいち早く達している。プラモデルを組み立てたらお終いというずぼらな僕とは大違い。僕は頓挫したが、ジオラマの世界にも才能を発揮したみたい。プラモデルパッケージ画家の小松崎茂氏にページを割いてくれたのもうれしい。
 地域限定の内容なので、知らない人にはちんぷんかんぷんかもしれないが、同時代を生きた者にはたまらない魅力のある本だ。
 ただし定価は1600円だが、発行部数が少ないのかamazonでは2800円以上する。2019年1月発行の初版のままだ。