黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

北の零年


明治の初頭藩主から請われ北海道に移民した淡路島のサムライと領民達。「じきに殿も参られる」と開拓に精を出すが北海道の原野は淡路島のようにはいかない。2年経ち殿をお迎えする準備も整い村のようなものが出来始めた頃、廃藩置県が行われる。これにより北海道の管理は明治新政府に移り、開拓した土地はお国のものになるのだ。村全体が虚脱感と厭世観に包まれる中、主人公達はサムライを捨て開拓者となることを誓う。ここからが本編の始まりなんだが、極寒の冬を掘っ立て小屋でしのげるかとか、防寒具もなく藁靴で雪山越えられるわけね〜だろとか、言わないように。要は大自然の中のちっぽけな人間が表されればいいのだから。後半、馬が重要なポイントになってくる。馬ってのは美しいねえ。特に疾駆する姿の勇壮で猛々しいこと。香川照之のえげつない小役人ぶりがよい。この映画は愛というより母性がうまく描かれている。その強い母を演じる吉永小百合サユリストには必見。