黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

10月10日の想い出

僕らの年代にとって10月10日は東京オリンピックの開会式の日の印象が強いです。小6で学校は休みでした。父親はこの日のためにカラーテレビとテープレコーダーを買いました。カラーテレビは立派な家具調の作りで床の間に置かれました。その日以後我が家に掛け軸がかけられたことはなかったです。父親がなぜテープレコーダーを合わせて買ったのかは不明です。僕に開会式の模様やオリンピックの番組を録音するように命じました。彼は使い方も、もしかしたら用途もわからないまま買ったのかもしれません。小6の僕は喜々としてその作業に没頭した覚えがあります。そういえば我が家では柱時計のねじを巻く役、切れた電球の玉を替える役目は以前から僕の仕事でした。どうやら父親は機械というものに触りたがらなかったようです。いまだに車の免許もなければ自転車にも乗れません。オリンピックのテープは何度か聴きなおしておりましたが操作は僕の仕事でした。もっとも開会式だけで3時間くらいあったし、そのうちオリンピック熱も冷めて飽きてしまいテレコは僕のもの同然になりました。ソニー製のオープンリール・テレコはランドセルくらいの大きさで、ピンチローラーやキャプスタインの精緻な動き、頑丈なカバーに包まれたヘッドは眺めているだけでワクワクするものでした。当時何を録音していたか覚えていませんが大事にしておりました。そしてビートルズに出会うことで僕の中で音楽とテレコは切り離せないものになったのです。ビートルズが来日したのは2年後でした。