黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

硫黄島からの手紙


父親たちの星条旗」と対をなす2部作の第2弾である。「父親たち〜」で、かっこわるいアメリカの一面を描いてくれたクリント・イーストウッドが今度は日本のかっこわるさをピックアップしてくれた。中村獅童がこのトホホな役を好演(帰国したら別のトホホだったみたいだけど)。渥美清「拝啓天皇陛下様」を想起させる。死ぬことに意義を見いだせず生きることもままならない。塹壕から出れば敵に狙われ、逃げれば味方に撃たれ、戦おうにも武器はなく退却しようにも船も飛行機もない。国家から見捨てられたのは硫黄島だけでないインパールフィリッピン満州戦艦大和とにかくこの国は国民を見捨てるのが得意だ。イランで人質を救ったのはアントニオ猪木だし。それはともかくイーストウッドは栗林中将とバロン西を日本軍士官の中心に据えることでアメリカ向けに日本を理解しやすいように映画的な細工をしている。この二人はアメリ渡航経験があり英語が話せるのだ。これは功を奏すとおもう。単に日本人が野蛮な敵ではなく同じ人間として見えるように。ここんとこスピルバークのアイデアか。二宮和也の視点で状況が進む。彼は困難な役をうまくこなしていて好感がもてる。