黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

「歯痛の文化史」ジェームス・ウィンブランド著

 古代の治療法はまじないかお祓いだったろう。干した木の実の種を虫歯に詰めるとか葉っぱを夜露に濡らして患部に当てるとかはましな方で、頭蓋骨の周りを7回廻るとかモグラを油で揚げて水気を飛ばし呪文を唱えるとか、歯痛とは永いつきあいだったんだね。

ヨーロッパでは、ハンカチは「鼻水拭き取り布」と呼ばれ人前でハンカチを使う(鼻をかむ)のはマナー違反どころか忌み嫌われるものだったようだ。
 ナポレオンの王妃ジョセフィーヌは歯が悪く、その見かけが醜かったのでハンカチで口元を常に隠していた。ハンカチが与える不快感よりも、自分の歯の方がはばかれると考えたのだろう。
 宮廷の女性達が王妃の真似したのでハンカチは「女性の身だしなみ」の必需品になり屈辱の「鼻水拭き取り布」から礼式にかかせないファッション小物になったそうな。