シネマクレール
驚いたことに1960年代イギリスではラジオ局が国営BBC一局しかなくポップ・ミュージックは1日に45分しか放送できない法律があったそうな。同じ頃僕でさえ一晩中ビートルズ聴きまくりだったのにストーンズやフーの地元の若者はどうしてたのかというと、法の及ばない領海外から海賊放送をしていた「レディオ・ロンドン」を聴いていた。映画では「レディオ・ロック」という設定である。船の上で共同生活するDJたちはどれも一癖も二癖もあって胡散臭いことこの上ない。ストーリーは海賊放送をつぶそうとする政府との対決と新入りの若者の恋物語を軸にあれやこれや進んでいく。土曜日には女の子達がやってきて一晩中乱痴気騒ぎを繰り広げる。ファックだのコックだの汚い言葉が乱れ飛ぶのでこの辺がR12指定なのかな。それとミニスカートが発祥した時代なのでやたらパンチラが目に付く、というか前屈みにさせておいて後ろ下から撮影すれば自然にそうなるわなぁ。なんか古くさい手法だし絶対に中年のスケベな監督じゃろ、とおもったらなんのことはない「Mr.ビーン」の脚本書いていたリチャード・カーティスじゃがな。「タイタニック」と「ポセイドンアドベンチャー」と「蒲田行進曲」を合わせたようなエンディングは、それはそれで楽しいがパクリっぽく、違法とはいえ絶大な支持を得た放送局をモチーフにした音楽映画と恋愛部分との中途半端なからみはB級映画そのもの。でも「超一流の」だけどね。細かいことはさておいて音楽は最高。ザ・フーやストーンズ、キンクスが効果的に使われていて全53曲はうれしいヒットパレードである。
船のオーナー役ビル・ナイが「パイレーツ・オブ・カリビアン」に続いてメッチャかっこいい。敵方の大臣ケネス・ブラナー(ワルキューレにでてた)もいい味出してます。なんたって今が旬のフィリップ・シーモア・ホフマン かっこよすぎ。