黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

ビートルズ来日40周年記念企画

ビートルズ イン ジャパン 1966 (アスコム刊) 10500円

ビートルズが日本に滞在した103時間の写真集である。限定6000部私のはNo.2873である。撮影はボブ・ウィットカー氏。ボブ・ウィットカーときいてピンと来る人は相当なビートルズマニアといえる。キャピタル盤のブッチャーカバーを撮影したカメラマンである。(ついでに言うとLPリボルバーの裏ジャケも彼)彼はドイツ公演から引き続きビートルズと一緒に来日した。なので日航機「松島」の機内から写真集は始まっている。公式カメラマンだけに相当食い込んだ写真が多く大判なので迫力がある。しかし、何度も見返していると見覚えのある写真も少なからずある。んん???
もしかして、と本棚の奥から写真集「ザ・ビートルズ イン 東京」というシンコーミュージック刊(1986年発行)を探し出して見比べたら写真はボブ・ウィットカー氏じゃないの、シンコー本には数多くのコメントや資料が満載で断然こっちの方が面白いし、しかもたったの1200円!!アスコム本にはコメントはごくわずかで10500円である。チョットため息。そういえば日本側の公式カメラマンは浅井慎平氏だったはず。「THE BEATLES IN TOKYO 1966」1995年復刻判も探し出す。浅井本の初版本は1966年7月20日〜24日松坂屋銀座店上野店で写真展が開かれそこで独占予約販売された。なので世に出た数は少ないと思われる。浅井氏自身「ぼくは写真家として華やかにデビュウするはずだった。(略)(この国の)ジャーナリズムは彼らを無視した」と記しているくらいなので全く売れなかったのだろう。私自身70年代神田の古本屋街には毎週のように足を運んでいたが一度も見かけたことはない。
あらためて浅井本を開くと構成がいかに洒落ていたかわかる。来日から離陸まで時間軸で並べてあるのはアスコム本と同じだが、各章のタイトルが日本公演での演目になっている。そして脱ぎ捨てられた靴下や洗面台のタオルなど生活臭のする写真、パンツ姿で歩くジョン、たたずむ若い警官、最後の写真は離陸する「鎌倉」と機内から外を見るポール。復刻版のコメントは詩人のピーター・バム氏。これがなかなかいい。「切なさはジョンのコンセプト。愛に飢えた札つきの不良。眼鏡をかけた天使。」