黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

あるいは裏切りという名の犬

シネマクレール石関

フランスのハードボイルドは冷徹で残酷だ。強く逞しい男と過酷な運命の女の物語である。デカもギャングも。「裏の社会では、おまえは駐車場で頭を打たれて死ぬんだ」「裏の社会では、あなたのような人は無視される」。仲間を殉職させておいてのうのうと出世をたくらむ刑事。コンプライアンスのみにこだわる警察組織。そんな中でアイデンティティを保とうとする人達の精神力を描き出した監督オリビエ・マシャルはスゴイ。トレンチコートを引っかけて立ち去る男の背中、愛する男が決着をつけるためにマンション出て行く姿をガラス越しに見つめる娼婦。意外な結末が、やるせなくせつない。