黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

直島へ

瀬戸芸が終わってから行く天の邪鬼。
直島へは8年ぶりかな。家プロジェクトが始まったばかりで、地中美術館に行列があったものの全体的にはまだ人は少なかった頃だな。

宇野港へは特急バスが便利。料金はJRより70円高いが、乗り換えがなく道がすいていればJRより速い。児島湖を眺めながらワンカップをかたむけるとちょうどいい頃合いに宇野駅前に到着。

瀬戸芸が終わってからも渡航する人が多い。この日はフランス人の一団と同じだった。

船から見るアラーキー。こうやって見ると意外に違和感がない岡山駅で列車の車体にペイントしてあるのを見たときは一瞬ぎょっとした。
山本ウドン経由本村、ベネッセのコースを考えていたが、島に着くなりバスが出ますというアナウンスを聞いて飛び乗ったら地中美術館行きだった。いきなり行程の八割をすっ飛ばしたことになる。

でも、ちょうど整理券を配っているところで待ち時間無しで入場券が買えた。

チケットセンターから入口に向かう道路に沿っていくつかの池があり様々な花が咲いている。これはモネの睡蓮をモチーフにしている。
館内は撮影禁止なのだ。

地中カッフェにてランチ。生ハムとポテサラのピタサンドとビールで1400円。籐の座布団が用意されていてテラスに出ていただける。肌寒かったが一時間以上コンクリートに囲まれていたので開放的で気持ちがいい。

ピタサンドとは丸い袋状のパン(薄くてクレープに近い)に具を詰めたもの。生ハム、レタス、トマト、ポテサラ。袋状なので食べやすい。

外観。地中美術館内で唯一露出した部分。空中から見ると三角形や四角形の吹き抜けや天窓部分が見れるはずだが、外からは巧妙に配置されていてみえないようになっている。
カフェは行程のおよそ3/4位にあって、地中美術館の驚くべき構造、雰囲気から一時解放してくれる。地中美術館には絵画はモネの睡蓮5点しか展示されていない。あるのは空間芸術である。安藤忠雄のコンクリートの織りなす空間と取り入れられた自然光によって刻々と変化する色彩。作家を知らないが、数人ずつ部屋に通され一列に並んで一段ごと階段を上がっていく儀式の後ブルーの光に満ちた部屋に入るとそこは影のない世界。目がくらむ感覚に襲われるがしばらくすると不思議な浮遊感で一杯になる。また別の部屋はまるで礼拝堂のような大広間。大きな球体が鎮座していて、それだけは触れてもいい展示物。天井からの光が球体に反射して(時刻によって変化する)荘厳な空気を作り出す。そっと触れてみると宇宙と交信しているみたいな感触。地中美術館は別の世界を体験できるといっていい。

地中美術館から徒歩で10分足らずにある李禹煥(リウーファン)美術館。これは安藤忠雄李禹煥の一騎打ちのような美術館である。谷間のコンクリートで出来た一直線のエントリーを歩き、館内に入ると柱の間という巨大な部屋。そこにはこれも巨大な「関係項」シリーズが4面に飾られている。点と線がテーマのようでシンプルな絵柄は対話や照応を表しているらしい。
ここもまた不思議空間である。