黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

季刊 麺の世界


昨年春創刊された麺の専門誌である。麺を作る専門誌ではなく「麺にかかわる情報・リポート・論文の専門誌」という位置づけで麺文化を享受する側研究する側の両者の橋渡しを担うために世に問うと序にある。編集者は、文化麺類学・ラーメン編の著者奥山忠政先生である。東アジアの麺事情からラーメン屋開店講座、麺と虫歯の関係など多岐にわたる。「我が国におけるうどんの消費動向の実態」という国勢調査並の論文もあり、これによるとうどんの消費量は増加傾向にあり高所得者層で消費金額が高く、大都市では麺類に占めるうどんの消費割合が低下しているが金額的にはピーク時より増加している。地域特産ブランド品の消費は減少しておりブランドイメージの改善が必要であろう。讃岐うどんが東京に進出(02年)後都市部では定着しつつあり現在は地方展開の時代になっている。結論は「(全国的に)本格的なうどんブームの兆し」が見えてきたそうである。
また中国や朝鮮半島で18世紀には完成し普及ていた押し出し式麺製法(圧搾機)が日本に伝わらなかったのはなぜか、それは日本では17世紀には各農家に石臼が普及し製粉技術も高度になり、切り麺の技術が相当な水準に達してたからと思われる。
面白いのは江戸時代蕎麦屋はラブホテルの役目もしていたという。井原西鶴「好色一代女」に蕎麦屋の2階に駆け込んで男と寝る女の話がある。どうやら1階は普通の蕎麦屋として営業し2階の座敷をラブホテルとして使っていたらしい。とすれば赤穂浪士の討ち入りの集合場所が蕎麦屋の二階だったことはアジトとして利用しやすく、御上の目も届きにくい場所だったからかもしれない。ちなみに坂田明の曲に♪そばやの2階で そばやそばや♪というのがある。