黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

グッドナイト&グッドラック

エド・マローは僕にとってヒーローなんだ」George Clooney

1950年「政府の中にアカがいる」いわゆるマッカーシー旋風が吹き荒れる。このマッカーシーという男はデマゴーグの糞野郎。証拠を示さずも事実確認もなく噂だけをもとに報道させたり、アカ認定して職場を追放したりという非人道的な行為が彼自身が召還されるまで4年間も続いたのである。マッカーシーの映像は当時のニュース画像やインタビュウ映像を使っていて本人そのものである。奴の品性下劣さがそのまま表されている。この映画がモノクロなのはそのためだ。しかしジョージクルーニーが描きたかったのはそれだけではない。テレビのもつ本質的な危機である。テレビが娯楽の道具として退廃と現実逃避の現状を越えられないならば「スポンサーも視聴者も製作者も後悔することになる」。ゴールデンタイムに教育問題や中東政策について語られるべきだ。「テレビは人間を教育し啓発し情熱を与える可能性を秘めている、だがそれはあくまでも使い手の自覚次第だ」とエド・マローは締めくくる。父親がアンカーマンだっただけにGクルーニーエド・マローに対する想いは熱い。役柄でもマローとタッグを組みジャーナリズムの良心を支えるプロデューサー役を務める。骨太の男気満載の映画である。邦画だと任侠映画になってしまうのがさみしい。