黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

RENT レント

冒頭誰もいない客席を前に「Seasons Of Love」を唄う出演者達がダウンライトに浮かび上がるシーンは感動的でのっけから引き込まれる。時代設定は1989年。エイズが急速に蔓延するど真ん中にいたのがニューヨークはイーストビレッジの芸術家を目指す若者達だった。抗エイズ薬を飲みながら自分の生き方を模索する。売れない音楽家ロジャーの弾くフレーズはどれもQUEENに似てしまい自己嫌悪に陥っている。エイズで死ぬまでに心に残る一曲を作りたいが思うようにはいかない。それは過去の失恋・エイズ・貧困、新しい恋にも前向きになれずさらに引きこもる。映像作家を目指すマークは元カノにテイよく使われ、哲学者コリンズはゲイでエイズのエンジェルと出会い幸せを見つける。ミミはドラッグから抜け出せないショウガール。アーティストのモーリンと弁護士のジョアンヌは女性同士で婚約するがお互いのわがままから別れてしまう。こんな奴らの一年間525600分を愛と友情、自由と夢を軸にいきいきと描く。マークの撮影した8mmフィルムが挿入され、時の流れと共に揺らぐ彼らが効果的に表現されている。ミュージカルなので死の間際でも唄う。セリフは1割くらいであとは全部唄で語り継ぐ。この手法はミュージカルでも珍しいかもしれん。