黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

I'm Not There

シネマクレール石関

6人の役者がBobDylanを演じる。単に少年時代から現在までを6分割したものではなく、かつ必ずしもDylan自身を投影したものでもない。なので非常に観づらい映画である。Dylanに関するエピソードや楽曲を知らなければ何のことだかさっぱりわからんと思う。物語は時間軸を無視して進むので、ぼく自身わからないところが多く特に結婚生活のパートや教会に帰依したパートは全然Dylanと結びつかなくて、というか知らないし興味がわかなかったのでつまらなかった。恋愛映画の一部分としてなら面白い展開だったのかもしれないけどね。「ブライアンジョーンズ」でキース役をやったベン・ウィショウは淡々としたモノローグのみの詩人役。これが次長課長の井上にそっくりで出るたびに(深刻な場面なのに)笑ってしまった。ウッディとケイト・ブランシェットリチャード・ギア(ビリーザキッド)の部分は誰にでもわかりやすい。やせっぽちのバラッッドのエピソード(結構長い尺)にはにんまりさせられるし、墓石ブルースにはリッチィ・ヘブンスが登場する。クリス・クリストファーソンも出ているのでお楽しみに。「ノー・ディレクション・ホーム」を観たくなった。
ぼくのDylan体験は60年代後半から70年代はじめと初来日(1978)のみであるがかなりぶっ飛んだ経験であった。なぜか80年以後の彼には全く興味がなかった。いまでもハイウエイやアナザーサイドは愛聴盤である。ただしLPで聴く。CD盤はリマスターされていないのでDylanの持つ微妙な声の変化が再現されていない。