目が悪くなって文庫はもう読めないかとおもっていた。
本屋で「田中経一」という名前にひっかかった。もしかしてTVショー「料理の鉄人」のプロデューサーなのでは? 後書きを見て確認した。小説を書くんだなぁ、デビュー作みたいだ。それらだけで購入するに値すると直感。
物語は戦前と現代を行き来する構成で、清朝の「満漢全席」に対抗する幻のレシピ「大日本帝国食彩全席」を探すサスペンス。
このレシピは満州国建国を祝うもので、作られたものの披露されることはなく散逸。その失われた料理本を探すため現代の天才料理人が依頼を受け色々な人間模様に遭遇する。
伏線がわかりやすく、後半になって前半のテンポが失われそうになる、つまり「はは〜ん、やっぱりな」と読むスピードがさっさと速くなってしまう。ところが終盤「おやおや、こんな手があったのか」と気持ちよく読了。
後で知ったが映画化されるみたいだ。これは楽しみ。
巻末に全204個のメニュが掲載されているのも一見の価値あり。