黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

バックダンサーズ!


ロックンロールな青春映画の秀作である。ダンスにかける女の子達の夢ととりまく大人達のジタバタが面白い。売れ線だけを評価するレコード会社、仲の悪い親、行き場のない若者達。子持ちのキャバクラ嬢、補導されて退学になった娘、アイドルを目指す娘。いつかなうかわからない夢に向かってダンスに明け暮れる。親と子、友情、恋愛これらの描かれ方は、きわめて半端である。深刻な問題なのにさらりと流され結論もなく、どうなるんこの二人?のまま終わる。でもそれでいい。大事なのはダンスだ。恋の行方などそこそこにしてダンスに重きをおいた監督の判断はただしい。「宇宙戦争」みたいに宇宙人の襲撃の最中に家族愛とか説かれても、はようやっつけんかい!バリバリ闘わんかい!とストレスの溜まるサイドメニュウ展開は苦手だ。とにかくダンスを中心にストーリーはススム。若いDJ(ケン)が「70年代のロックこそ僕らの原点」と言う。仲間に「歌謡曲かよ」とからかわれるが彼は意志を通す。このバックボーンとなるのがロッカー陣内孝則つのだ☆ひろのロックバンドである。ライブ直前にギタリストの怪我で開演が危うくなるがDJケンの機転で陣内が唄いはじめられる。この瞬間つのだと交わすアイコンタクトがたまらなくロックしているんだなぁ。陣内とHIROのデュオ「いつか二人で」と「I will take you」ここんとこちょっと泣けます。最後のダンスショウにむけてソニンとHIRO、平山あやサエコが全力疾走する。ここんとこ見物です。家族愛やら友情やらそこそこテキトーにつないであるからダンスにかける情熱が引き立つ。エンディングではハッピイエンドだったのかどうかもはっきりしない。情熱の発露とはそういうものだ。
アイドルと婚約者のツーショト写真が一瞬映る、婚約者役はドラドラ塚地のように見えたが、ちがうかもしれん。