久々に晴れた土曜日の夜１１時ごろ。めずらしくどの店もよく繁盛している。小腹を癒して気持ちよく帰りたいと手頃な店を探していたら、友人が行ったと言っていた店の前にいた。混んでなければいいがと戸を引くと客は居らずオッサンが小座敷に寝っ転がって新聞を読んでいる。白衣からして店主のようだ。
熱燗とホルモン焼８５０円。周囲の店からにぎやかな声が聞こえてくる中ぽつんと店主と向かい合っているのも寂しいものだ。鉄板焼きの店という割には鉄板は小さく水分の飛びが悪いので「焼」というより「煮」に近い。小腹はともかく心に穴の開いた夜だった。
