黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

プラダを着た悪魔


いい映画だねぇ、秀作だよ。映画評に「ストーリーは単純云々」と書き込みがあったが、複雑ではないにしろ意外な展開がいくつかあって目が離せない。主人公アンディ(アン・ハサウェイ)は単に腰掛けのつもりでファッション雑誌編集部に就職するが、オシャレに興味のない彼女はファッション雑誌だからといって作る側が着飾る必要性を感じてない。初出勤のとこで流れるのはマドンナjump。スタッフ全員がブランド物を着こなしている中にあってダサイ服でそれなりにがんばる彼女に声援を送りたくなるだなぁ。しかしそんな彼女は当然認められないわけで、ナチュラルビューティを引き出す手段としてのファッションにも努力しないとこの世界では生き残れないと諭され開眼する。(ケッ、開眼だって古!このおしゃれな映画にふさわしい言葉が思いつかん)そこからステップアップしていくわけだが、なにより強烈なのが編集長ミランダ(メリル・ストリーブ)の冷徹で高圧的でシリアスな生きざまである。世界のファッション界をリードする雑誌の編集長ともなれば求めるもの求められるもの相当なプレッシャーの中で生き抜かねばならない。意地悪なのかわがままなのか実現困難な要求を部下に課し、やり抜いた者だけが側近に選ばれるのだ。この役は「クレイマークレイマー」「めぐりあう時間たち」よりも彼女の魅力を最大限に引き出している。さらにノーメイクで私生活の素顔をアンディに晒すシーンは感動的ですらある。この辺から物語はややこしくなるのだが、それはファッションに興味のない私だからそうなのかもしれん。個人的にはアンディの先輩秘書であるエミリー(エミリー・ブラント)に親近感を覚える。仕事上のポジションによってアイラインが変わるのが面白い。しっかりした先輩、意地悪な先輩、弱気な彼女、出し抜かれた時それぞれにメイクが変わりそれにつれて彼女の魅力も立場も変化する演出は見もの。
全編おしゃれでゴージャスな雰囲気で包まれたこの映画は監督デビット・フランケルをはじめ撮影、衣装(パトリシア・フィールド)らのスタッフが「セックス&ザ・シティ」を手がけたメンバーだ。どうりで。オススメ度No.1
追記:レントのトレイシートムスも出演。いい味だしてた。ことしはいい映画が多かったなぁ。次回はイオウジマを予定。