黒爺のハーフボイルドな71年

黒爺の食い散らかしの恥 書き捨て

「ラーメン職人の学びに関する研究」柏木恭典教授の論文 (2009)

「ラーメン職人の学びに関する研究」千葉経済大学短期大学部 柏木恭典教授の論文 (2009)

 ラーメン職人はいかにして職人になったのかをテーマに、佐野稔、中村栄利ら数人の例を挙げて考察している。数年から十数年間の修行を経てやっと一人前になれる和食やフレンチ職人と比べて、ラーメン職人になるための修行期間は短い。例の中には,魚屋だったのが、縁あってラーメン屋に就職し三ヶ月で自分の店を開いた者。佐野氏は10年間ほど洋食のレストランで働いた後,ラーメンの食べ歩きを三年間おこないラーメン屋を開業する。中村氏に至っては修行どころか就職経験すらない全くの独学だった。

 そこに著者は、ラーメン職人の学びの特殊性を見る。
 佐野氏は開業後も食べ歩きを続けたし、中村氏は留学中にスープストックの勉強に余念が無かった。ラーメンの世界では、従来の修行に対して独学という形に上手く当てはまらないケースが多いと分析する。師弟関係の中での修行とは全く別のものである。つまりラーメンにおいて修行は絶対条件ではないのだ。
著者は「ラーメン職人の学びとしてのコミュニケーション的独学」というテーゼを考えた。食べ歩き,素材集めと出会い、実験、試行錯誤がラーメン職人が行っている独自の学びだ。

「実験」の項目には、冨士屋さんの苦労の跡がうかがえる記述もある。

  冨士屋さん初代のコミュニケーションの姿も書かれている。